健康保険証の有効期限が2026年3月まで延長へ|マイナ保険証への移行期に知っておくべきポイント
健康保険証の有効期限が2026年3月まで延長されました。
マイナ保険証への移行期での注意点、医療機関・薬局の窓口対応、企業の労務実務ポイントを社労士が解説。
健康保険証の有効期限が2026年3月まで延長されました
政府は、発行済みの健康保険証について、2026年(令和8年)3月末まで有効期限を延長する暫定措置を発表しました。
これは、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への移行を進める中で、被保険者や医療機関の混乱を避けるために設けられた経過措置です。
特に医療・介護・薬局の現場では、受付時に保険証の有効期限や資格確認が必要となるため、今回の措置は実務負担軽減に直結します。
なぜ有効期限が延長されたのか?
背景には、以下の3点があります。
① マイナ保険証の利用率向上の遅れ
マイナ保険証は今後の医療DXの柱とされていますが、依然として普及は十分ではありません。
そのため、従来の健康保険証が突然使えなくなる事態を避ける必要がありました。
② 医療機関・薬局の現場負担への配慮
有効期限切れの保険証を患者が持参した場合、資格確認に時間がかかり、窓口が混乱する可能性があります。
今回の延長により、受付・レセプト事務の負担を軽減できます。
③ 被保険者への猶予期間
保険証移行の周知不足により、期限切れの保険証を捨ててしまう人も少なくないため、期限延長によりトラブル防止が図られています。
医療機関・薬局が対応すべきポイント
健康保険証の有効期限延長は喜ばしいものの、完全移行は2026年4月以降と見込まれており、事務対応の準備は必須です。
● 有効期限切れ保険証の受付フローを整備
期限切れ表示がある保険証でも、2026年3月までは使用できる可能性があります。
受付担当者向けのマニュアル更新が必要です。
● マイナ保険証の利用案内を強化
利用手順・メリットを案内することで、移行準備をスムーズにできます。
● オンライン資格確認システムの最終チェック
保険証の有効期限が延長されても、資格確認システムの更新が必要となる医療機関もあるため注意が必要です。
企業・事業所が押さえておくべき労務ポイント
医療・介護・薬局に限らず、企業の総務・人事担当者も以下を確認しておきましょう。
- 従業員への「保険証の有効期限延長」についての周知
- マイナ保険証・資格確認書への切替タイミングの確認
- 扶養家族の保険証期限管理
- 社会保険加入手続き時の「保険証交付までの案内文」修正
- 被保険者資格取得/喪失手続き後の保険証受け渡しフローの整備
企業としても、誤解によるトラブルが起こりやすいため、期限延長でも保険証の取り扱いルールを明確化しておくことが大切です。
まとめ
健康保険証の有効期限延長は、移行期の混乱を抑えるための重要な措置です。
2026年4月以降はマイナ保険証への完全移行が現実味を帯びており、事務手続き・受付対応・周知など、各現場での準備が求められます。
医療・介護・薬局、そして企業の人事労務担当者にとって、今後の制度改正に備えた情報収集と体制整備が、スムーズな運営に直結します。
