2025年問題 超高齢社会のいま、介護・医療人材をどう確保するか

2025年、団塊の世代がすべて75歳以上となり、日本はついに超高齢社会の真っただ中にあります。
厚生労働省の推計どおり、介護職員や看護職員の不足は各地で顕在化し、現場では採用難・離職率上昇・シフト逼迫といった課題が日常化しています。
薬剤師として医療現場を経験した立場からも、この人材確保は経営の最重要テーマと言えるでしょう。
1. いま直面している現場課題
- 求人を出しても応募が来ない、採用単価が高騰している
- 採用できても数か月で離職してしまう
- 夜勤や長時間労働による疲弊でスタッフが定着しない
これらは一時的な現象ではなく、人口構造が背景にある長期課題です。
2. 今すぐ取り組むべき施策
- 処遇改善加算・ベースアップ加算の活用
介護職員等処遇改善加算やベースアップ加算は、計画書とキャリアパス整備を条件に賃金原資を確保できます。社労士としては、賃金設計やキャリアパス制度づくりを早急にサポートします。 - 多様な雇用形態の導入
短時間正社員、副業人材、シニア人材の活用で裾野を広げます。ライフステージに合わせた働き方が選べる制度設計が欠かせません。 - 働き方改革の徹底
36協定の見直し、シフト管理システム導入、残業上限遵守など、現場負担を減らし離職を防ぐ仕組みが必要です。
3. 地域包括ケアとリスキリング
高齢者人口がピークを迎える中、医療・介護・薬局・訪問看護が連携した「地域包括ケアシステム」はすでに不可欠な存在です。
デジタル化やAI活用が進む今こそ、職員が新しい技術や業務フローを学び直すリスキリング支援も急務。
オンライン研修やICT教育を組み込み、即戦力を育成しましょう。
4. 経営者へのメッセージ
採用よりも「定着」が最優先です。職員が安心して働ける就業規則、キャリアビジョンの提示、処遇改善と法令遵守を一体で進めることが、長期的な人材確保につながります。
薬剤師として医療現場を理解し、社労士として労務改善に携わる私たちは、現場に即した具体的な対策を提案できます。
2025年問題は「将来の話」ではなく、まさに現在進行形の経営課題です。
人材不足を逆手に取り、働きやすい職場づくりを加速させることで、地域医療と介護の持続可能性を守る一歩を今、踏み出しましょう。